日本人のシェフを迎えたアルエット洋菓子店。
フランスの伝統菓子はそのままに、新たな菓子を展開していくようだ。
日本から来たシェフが一体どのような菓子を作るのか。
アルエット洋菓子店に新たな風が吹くのだろうか。
日本人シェフの思うお菓子について、これからのアルエット洋菓子店についてお話を伺いました
こんにちは。鈴木さん。
こんにちは、ジャック・ドゥ。
こうやって丁寧に話されるとムズムズするな。ちょっと待って、まだ気持ちが追いつかない。
普段どおりで結構ですよ。
猫でもかぶっていよう。
で、ええと、自己紹介はこの前したよね。アルエット洋菓子店にて住み込みで働かせてもらっている鈴木赤銅です。(日本人シェフからのご挨拶参照)
たまに練り切りを飾っているのだけれど、あれが僕の作ったお菓子です。ちょうど調理場が空いているときに、いくつか作ってみたらシェフに大受けで。それからたまに調理場を借りて作らせてもらっています。店に並べると聞いた時はびっくりしましたね。
ええ。素朴な美しさがありますね。初めて見た時は骨董品かと思いましたよ。繊細な細工はシェフも挑戦していましたが、思った以上に難しいようで。
ありがとうございます。こちらで見るお菓子はたいていガラスの様にキラキラしていますが、ああいったものは飴細工でしか見たことがないので新鮮ですね。
僕の作るお菓子は、和菓子でいいかな。そう、和菓子。
和菓子。和、の文化が感じられますね。
「和を以て貴しと為し」はご存知ですか?
他者との調和。これが概念となり普及しているのが日本なんです。文化や伝統、習慣に染み付いているものであり、それらを汲み上げたものが和だと考えています。
なるほど、僕たちから見た日本人が大人しい、というのは「他人との調和」によるものだったのですね。
ははは、もし一般的な日本人に興味があるのなら、僕の孫と話してみるといいかもしれませんね。あの子は特に引っ込み思案ですから。
お孫さんがいらっしゃるようには見えませんね。
次の議題は?
もともとここは探偵事務所なんですよね。それが洋菓子店になったと。
そうですね。ブルゴーニュ探偵事務所の一部を改装してアルエット洋菓子店として開いているんです。シェフが軍の参謀本部第二部付きだった経験もあり、店については乗り気だったんですよ。しかし込み入った事情で探偵事務所を継ぐことになり、断念していたとか。
それがどういうきっかけで洋菓子店に?
それについてはシェフに聞いてもらいたいですね。簡潔で複雑な話らしいですから。
では次の対談にて、詳しく話を聞かせていただきますね
はぐらかされないようにね。シェフは気難しいから。まあ、僕としてはありがたいというか、なんというのか。探偵事務所、よりは気楽で自然なんですよ、アルエット洋菓子店は。
日常を感じられる場所ですね。そもそも探偵事務所じゃ人が遊びに来るってこともないから、これはいいな、と。長く愛されるお店になると良いですね。
なるほど、長く。鈴木さんの描く今後とは?
もし旅に出ても、いつかふらっと寄れる場所にしたいなあと思っています。お菓子を食べに来るついでに何をしてもいい、なんて思えると素敵ですね。